和のイデオロギー 4
「疑似論理」というのは、一般に、自己の固定観念と現実とのズレから生じる心理的な不協和を否定ないし減少させようとするとき用いられる自己説得の理屈です。
この場合、固定観念とは、地域社会の本来の姿は利害や意見の一致した「和」の状態であり、地域社会では「みんな仲良く、みんな一緒にやっていけるはずである」という想定です。
それは「和をもって貴しとなす」という古来からの秩序原理と結びついています。
「和」は既存の秩序、つまり乱れていない状態ー治まっている状態に引照されてイメージされています。
したがって、もし現実に、地域社会に分裂や争いが起ころうとしたり、現に起こっているならば、それは既存の秩序が撹乱されるからであり、既存の秩序を乱す「撹乱者」がいると考えられるのです。
そこで、乱れた秩序を回復するためには、その撹乱要因を排除すればよいことになります。
排除すれば、もとの秩序が回復されます。
そのとき本来、地域にあるべき本然の姿が現れるというわけです。
これは一種の本質顕現説でもあります。
排除の方法は、既存の秩序を乱すような行動を収拾する「飴と鞭」による和の工作です。